ポスドク問題 2 (ポスドクの立場から)

ポスドクの立場から

ポスドクの中で一番プレッシャーとなるのは、任期終了後の自分の進路であろうと思う。前述のように常勤研究員、ポスドクの数は大学教員のポストの数をはるかに上回っており、任期終了後の次のポジションを常に意識して仕事をしなくてはならない。年齢も少なくとも30前後なので、家族を持っている場合などは心理的重圧が高い。

また、保険、その他福利厚生なども所属する組織、雇用形態によって大きく異なり、各種手当て、賃金に大きな差があることも確かである。

次にポスドクの就職活動について述べる。

次のポジションの審査時には、そのポスドク期間中の研究成果が採用不採用を決める大きな要因となるが、どこでポスドクを行っていたかにより、成果の形態が異なる。材料科学系では論文、特許、学会発表などが重要となるが、もし企業などで製品化に近い部門で研究を行っていた場合は、論文などは少なくなる(時には皆無という場合も)事が予想される。そのポスドクの背景を読み、個人の能力の正確な評価を行うことをポスドク側は求めている。

また、研究資金の調達能力も研究を遂行していく上で非常に重要な能力であるが、ポスドクのポジションによっては競争的外部資金に応募できないことがある。例えば日本学術振興会の特別研究員は科学研究費補助金(科研費)に応募することは出来ない。このような事も審査する側は考慮に入れなくてはいけない。

また、ポジションを取るのには人脈も非常に重要なファクターである。同じ能力を持っているポスドクが一つのポジションに応募する場合、ボス同士が知り合いで、口頭で推薦してくれるだけでも大きな差が付くことは明らかであり、実はちょっとしたボスの気配りが就職活動を左右することが多い。

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