天才というよりも、職人という感じの音楽家だと思う。
Jacoの様にファンキーな人生を歩むのとは対照的に、死ぬまで真摯に音楽に携わっていく人だと思う。はじめに出てきたのはそんな地味な感想だったが、何回もきくにつれて、そして自分で彼のやっていることに少しトライしたとき、あまりにも高い音楽性、芸術性にうちひしがれてしまった。
エレキベースで印象に残るフレーズはとかくフレットレス、スラッピングで奏でられることが多いが、彼のようにノーマルな指弾きで(また音色がシンプルでダークで、時には抑制のきいたクラシックギターのようで)リリカルなフレーズを弾かれてしまうと、崇高な精神性のようなものを感じてしまう。アルバムに収録された曲順にもう20回以上聴いている。
このアルバムを聴き込んでのもう一つの収穫は2曲目のDil Chahata Haiでギターを弾いているPrasannnaというギタリストに出会えたこと。ギタリストならば今までにない音色・奏法の新鮮さに驚くのではないだろうか??
とにかく、彼をベーシストとして採用している上原ひろみ、そしてTony Greyの周囲にいる強烈な独自性を持つ音楽家のコミュニティー(特にDavid Fiuczynskiなど)に脱帽です。