ポスドク問題 5 (個人的感想)

この記事を書き終えての個人的感想

正月休みを利用してこの問題について調べたことを通じて、自分を取り巻く環境を見直す良いきっかけになった。

私はヨーロッパ、アメリカの研究環境を見てきたが、日本では外国に比べ自立していないポスドクが多いように思われる。もちろん中には研究能力、コミュニケーション能力など非常に優れたポスドクを多く見てきたが、修士の学生のようなポスドクも多く見てきた。

私の意見として、日本では博士課程で経済的援助を受ける事が出来る学生がごく一部にすぎないということが原因の一つになっていると考える。日本以外の先進国では博士課程の学生は教授と労働契約を結び、仕事として研究を行う。もし、パフォーマンスを発揮できなければ契約を打ち切られ、一般企業での就職口を見つけるより他はない。研究のスピードアップを図るにはコミュニケーション能力は不可欠で、自然とその能力も博士号取得までに見についていく。

一方日本の博士課程の学生は30近くになっても両親からの援助無しには、学位を取ることが出来ない。いわば「学位を買う」という状況になってしまっている。故に精神的自立も大きく遅れてしまっていると思われる。実際、「社会人としてやっていくのも難しいのでは?」というようなポスドクも何人も見てきた。この状況は企業が博士号取得者よりも、修士卒業予定者をターゲットとして求人を行うことからも理解できる。いずれにせよ、コミュニケーション能力が乏しいボスの下で仕事をするのは部下としても非常に重荷となる。

解決策としてはどのようなものがあるか?独法の研究機関、大学のいくつかの研究室では数億円する装置が数回使われているだけで、数年間放置されているという状況を目にすることが多い。このような研究予算の無駄遣いの分を修士・博士課程の学生のための経済的サポートのために用いればかなりの学生が、経済的心配無しに博士号習得を目指すことが出来るようになると思われる。その一方、博士号取得のハードルを高くすることが博士号取得者の量・質のバランスをとっていくのに必要なのではないかと感じた。

また博士号もしくはポスドク後の進路の種類にも雲泥の差がある。欧米では材料科学に関する研究で博士号取得後に銀行、商社に就職する例は珍しくない。一番多いのはメーカーへの就職、研究開発または技術営業の場合もある。また、ヘッドハンティングの会社に入り、研究者のヘッドハンティングを行う友人もいた。研究に携わっていた経験があるからこそ出来る職種である。

一方、日本の博士課程の学生、ポスドクの進路は研究所職員、大学職員しか可能性がないと思いこんでいる事が多い。受け入れる側も進路を決める側の視野も共に狭すぎる印象がある。シンクタンク、ヘッドハンティングの会社など、博士号取得者の就職の前例が少ない事から、チャレンジする側にも勇気が必要だが、開拓されていない分野にこそ結構いろいろなチャンスがあるのではないか?と感じる。

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