国立大学向けの「運営費交付金」行方

重要なニュースなのでここにまとめておきます。

やはり、科研費では東大、京大、東工大などが強いです。単純に考えると、研究を遂行している人材の質の高さ+国が重点を置いている課題に沿った研究テーマが多い、ということでしょうか?

一方、特別研究費に関してみてみると、地方大学が多く、その後、やはり、東大、京大などの大学が増額されている。

交付金が100%増加、あるいは半分以下になったなどど、あっさり書かれていますが、教員数、学生数も1,2年で急激に変わらないので、交付金が減額された大学はさらに厳しい状況に追い込まれていくと思います。競争的資金が増えるに従って、今後はさらに格差が広がっていくのでしょうか?

科研費などははやりのキーワードを入れないと、なかなか採択されにくいという印象を持っています。なので、自分の興味とはやりの分野を如何にリンクするか、というのが重要です。

しかし、自分の興味でないところには情熱を捧げるのは難しいので、そのバランスをとるのが必要になってくるでしょう。そして、それを通じて新しい色々なアイデアが出てくるというのが、これからの研究の醍醐味の1つになってくると思います。

教員となって数年たてばこのあたりの状況が色々と明らかになってくると思います。

P.S. 個人的に興味深かったのは奈良先端技術大学院大学が科研費、特別研究費ともに増額しているのに対し、北陸の方は交付金が減額されていますね。自分の中ではこの二つは先鋭の大学院大学で研究のレベルの高さ、教員の勢い(若さ、実績)などで共通点があった、と思っていたのですが、なぜ差が出てきてしまったのでしょうか?このデータもたった1年のデータなので、数年の推移を見ないと何ともいえないですね。

http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20070523-00.html

財務省は2007年5月21日に、国立大学向けの「運営費交付金」について、(1)科学研究費補助金(科研費)(2)特別教育研究経費の配分割合に基づいて見直した場合の2通りの試算を公表した。同試算では、2006年度の科研費の獲得実績を指標とした場合、運営費交付金が現行より増える大学は13大学で、反対に減少する74大学のうち地方大学や教育大学などの50大学で同交付金が半分以下になった。一方、20042006年度の特別教育研究経費を指標とした場合でも、同交付金が現行より増える大学は34大学に留まり、減少する52大学のうち、30%以上減少する大学が27大学に達した。

ーーーー

科研費を指標とした試算では、(1)東京大学(2)京都大学(3)東京工業大学(4)名古屋大学(5)東北大学(6)大阪大学(7)東京農工大学(8)北海道大学(9)奈良先端科学技術大学院大学(10)九州大学(11)一橋大学(12)神戸大学(13)長岡技術科学大学の13大学で、同交付金が増加する(増額率の大きい順)。旧帝国大学の7大学すべてがランクインしており、特に上位3大学である東京大学と京都大学、東京工業大学では100%(倍額)以上の伸びとなる。

ーーーー

一方、全国の国立大学の85%に当たる74大学で交付金の減額となる。特に交付金が50%以上減額となる大学をみると、(1)兵庫教育大学(2)愛知教育大学(3)京都教育大学(4)鳴門教育大学(5)福岡教育大学(6)北海道教育大学(7)東京芸術大学(8)大阪教育大学(9)宮城教育大学(10)上越教育大学(11)福島大学(12)滋賀大学(13)大分大学(14)奈良教育大学(15)東京学芸大学(16)東京海洋大学(17)筑波技術大学(18)佐賀大学(19)鹿屋体育大学(20)和歌山大学(21)琉球大学(22)山梨大学(23)小樽商科大学(24)香川大学(25)島根大学(26)滋賀医科大学(27)高知大学(28)大阪外語大学(29)弘前大学(30)岩手大学(31)総合研究大学院大学(32)宇都宮大学(33)宮崎大学(34)鹿児島大学(35)富山大学(36)室蘭工業大学(37)信州大学(38)鳥取大学(39)旭川医科大学(40)岐阜大学(41)福井大学(42)秋田大学(43)政策研究大学院大学(44)帯広畜産大学(45)山形大学(46)京都工芸繊維大学(47)茨城大学(48)三重大学(49)北陸先端科学技術大学院大学(50)奈良女子大学の50大学(減額率の大きい順)となる。教員養成系の地方の教育大学で、減額率が80%を超えるところが多い。

ーーーー

一方、新たな教育研究ニーズに対応し、各国立大学の個性に応じた意欲的な取り組みを重点的に支援する「特別教育研究経費」を指標とした試算では、(1)筑波技術大学(2)旭川医科大学(3)帯広畜産大学(4)群馬大学(5)東京外国語大学(6)福島大学(7)お茶の水女子大学(8)福井大学(9)熊本大学(10)長崎大学(11)小樽商科大学(12)東京芸術大学(13)宮崎大学(14)北見工業大学(15)室蘭工業大学(16)長岡技術科学大学(17)東京大学(18)新潟大学(19)九州大学(20)大阪大学(2007年10月に統合予定の大阪外国語大学含む)(21)奈良先端科学技術大学院大学(22)政策研究大学院大学(23)東北大学(24)名古屋大学(25)滋賀医科大学(26)岐阜大学(27)浜松医科大学(28)鹿屋体育大学(29)京都工芸繊維大学(30)山口大学(31)山梨大学(32)一橋大学(33)佐賀大学(34)北海道大学の34大学で、交付金が増加する(増額率の大きい順番)。特に上位19大学で30%以上増加することになる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください