留学で得たもの

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最近、修士の学生に留学のメリットについて尋ねられる機会が多々ある。

私も急に尋ねられても自分の中のまとまった意見をうまく簡潔に答えることができないので、ここでうまくまとめておくことにする。

今考えて、かけがえのない二つの財産は
1. マイノリティーとして生きた経験
2. トラブルに対し、冷静に状況を客観視して対処出来ること
の二つだろう。

留学先のドイツでは言語、文化、そして行動、考え方、生活習慣など、大部分で自分がマイノリティでないことに気づく。それ故生活の至る所にいつもプレッシャーがある。生活では買い物をする時、電車に乗っている時の不安、職場では速いペースのディスカッションについて行くためのプレッシャーが大きかったことを覚えている。学位審査では「準備のために自分が見逃していることがあるのではないか」という不安が数ヶ月続いて、かなり疲弊した。

マイノリティーとして生きている間は、単純に自らの生存のために集中する時間が長くなり、いわゆる「調子こいた」状態はあり得ない。私にとってはその3年間のプレッシャーが自分を打たれ強くしてくれた。自慢ではないが、何かかうまくいかない時、私はヘコむ時間は非常に短く、やるべき作業に集中できる方だと思う。生き残っている研究者もその様な資質を持った人が多い。今考えると研究者としてのキャリアのためには有意義なトレーニングだった。

自分を客観視できる点に関しては、文化的にも地理的にも日本から切り離されたことが大きい。私は自分のステップアップのために外国に乗り込んで行ったが、ふとした時に見つける真実は「どこに行っても、その土地に住む人の生活がある」というものだけだった。「自分の人生も生活も特別な物ではなく、いずれ死する人間という消耗品のひとつ」と考えたときに、肩の力が抜けた(笑)。

肩の力が抜けた状態で、外国人局での手続き、大学の事務手続きなど、外国人にとって疲弊する様々なプロセスを淡々とこなしていった。この状態になったのは日本を出てから8ヶ月くらいだったと思う。研究上のトラブルも自分の成長のネタとして、受け入れることが出来るようになった。このattitudeが身についたのは私にとっての財産である。

もちろん、英語、ドイツ語などの外国語の能力、論文執筆、外国人研究者とうまくミッションを遂行する能力、など様々なメリットがあるが、自分の人生でかけがえのない財産は上記2つであると思う。

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