「国家の罠 (外務省のラスプーチンと呼ばれて)」佐藤優著

大学時代の現在外務省に出向している先輩の推薦で読んだのだが、一言で言うと非常に面白く、また著者の信念、精神的強さに感銘を受けてしまった。一方、もうちょっと詳しく書いて欲しかった点もある。いずれにせよ、自分の知らない世界についての内情は非常に興味深く、今日からまた読み直している。

私は根っからの理系人間で、もちろん官僚の職務内容についての知識もないが、この著作の重要なテーマの一つである「国策捜査」について知ることが出来たのはメリットであった。つまり、世論を納得させるため(本書では時代にけじめをつけるため)に誰かが犠牲(犯罪者)となる、という一般市民から見ればとんでもなく理不尽に見えることが行われているという事実を知れたのは非常に良かった。また、このような捜査も国家を大きな事故が無く存続させて行くには必要だという、ちょっとあきらめのようなものを感じてしまった一方、如何に自分達一般市民の意見・主張(つまり世論)というものがマスコミによっていとも簡単にコントロールされてしまっているか、というものを思い知らされた。

また、この本を読んで感じることは、この著者は一貫した信念をもって、外交、そして検察による取り調べ、裁判に対応してきたという点で、非常に感銘を受けた。序章での

「人間はまず内側から崩れる。決して自暴自棄になってはいけない。常に冷静さを失わないことだ。この独房が人生の終着駅ではない。最も重要なのは自分との戦いだ。」

という言葉はとても印象的だ。

事件関係者のほとんどが実名で書かれている点も、この本外貨に挑戦的であるかということが分かる。実名をインターネットなどで調べながら読むと、伏線が見えてくることもある

著者はこの事件について真実のみを語ろうとしている一方、やはり著者の信念があるため、著者の主観的な見方だと感じてしまう箇所もあった。

特に著者が行ってきた「外交のため(特に北方領土問題解決という目的)」のために行ってきたことの具体的内容(検察側の)について、詳しく書かれていないので、これが如何に一般庶民の感覚とずれているかどうか、ということも見極めてみたかった思いがある。

最近はアカデミックの世界でも、韓国の実験結果捏造事件、東大教授の研究費横領事件などスキャンダルが多くなってきている。このような事柄に関しても、将来国策調査が行われることがあるのだろうか?名度々考えてみたが、やはり政治などと大きく関わらない領域では注目度も小さいので、あまり行われないのであろうか?

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