先週末、友人(というか妻の元上司)の家でうなぎ&ラム肉パーティーがあったので、例の鶏肉の手羽元トマトソース煮込みを持ってはせ参じた。
この料理、調理の際には赤ワインが必要なのだが、料理に使ってもよい(安い)赤ワインがなかったのでスーパーに行き、買ってきたのがこれ”Yellow Tail”のワインです。
実はこのワインを知ったのはブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する
に取り上げられていたことがきっかけである。(当然ながら経営戦略の本を読んでワインの銘柄について知ったのは初めて。)
著者の調査結果によると、これからビジネスモデルを構築し市場に参入していくには、既存のビジネスと張り合おうとしている段階で失敗が決まっているようなものである(競争が激しい領域はred oceanと比喩されている)、とある。そして、その業界で生き残っていくには新しい価値観を提案するようなビジネスモデルが必須であると。
実際、成熟している市場の中でそんなことができるのか?というのが僕の印象であったが、例としてサーカス、ワイン、航空といういずれもが成熟している領域でのビジネスの成功例があげられている。興味深いのは新しいビジネスモデルが既存のものと比べ、「何を削って、何を付け加えたのか?」ということを定量的に評価するストラテジーが提案されている点である。
一方、blue oceanを目指していく際に心配になるのが、「どのくらいの時間で、自分たちが開拓したblue oceanを大多数の人が理解してくれるか?」ということであるが、やはり、既存のものとの差別化を随時アピールしていくことが必要だということなのだろう。
この本は会社経営だけでなく、すべての業種で、如何に自分の得意分野を開拓し、生き延びていくかいくかということに関して非常に参考になると思う。僕の行っている研究業界では、同じ装置で同じ物性を測定していても、研究の最初の切り口が違うと論文の価値もまったく異なってくるということがある。
とかく競争社会という言葉が強調される現代、red oceanで勝ち残ったものが真の勝者であるともてはやされがちであるが、その勝利は長期的には持続しないことがわかる。そして、現代で新しく出てくる商品を見ると、成功するかしないか、その企業の状態はどうなのか?ということに関する想像力が刺激されるので面白い。
例えば
iPod + iTunesに対抗するMicrosoft、Microsoft officeにフリーで対抗するOpen Office、成功は厳しいだろう。
一方、Googleの戦略は常にblue Oceanを見つけようとしているのが明快で、非常に将来性が高い。
そんなことまで考えさせてくれる本です。
P.S. この本のコンセプトに沿うと、受験戦争というのは知識を得ることには役に立っているものの、所詮は人間が故意に作り出したred oceanなのではないだろうか?いやいや、これに関して非常に良い本を見つけたので、また紹介します。