日本の理系大学院生への経済的支援

刈いれの時期。

ご利用は計画的に:旧育英会は「日本学生ローン機構」に改名すべき
http://viking-neurosci.sakura.ne.jp/blog-wp/?p=4523

日本の大学院生への経済的支援の状況は悪すぎる。

独立行政法人日本学生支援機構:JASSO (旧 日本育英会)のからの奨学金(はっきり言って消費者金融と同じレベルであるが)の未返済が問題になっている。

育英会から借金をする時に、返済に関して同意して契約を交わしたのであるから、それを返却するのは当たり前というのが前提であるが、日本は理系大学院生への経済的支援のレベルが低すぎる。

参考資料:
理工系のアメリカ留学
http://aoitani.net/aotani/Studying_Abroad/US_for_Science_and_Engineering_Majors.html

私の知る限りではアメリカ、スイス、ドイツ、オーストリア、イタリアは学位取得の研究がRA(Research Assistant)としての仕事と認められ、ささやかだけれども十分に自立して生活できる給料が支払われる。

(国、大学、さらに研究室単位でRAの他にTA(Teaching Assistant)が義務になる事がある。私の場合(ドイツ ハイデルベルグ大)では、学生実験の指導、レポートの採点の仕事があった。私はドイツ語が出来なかったので、研究室のネットワーク管理、真空装置の管理がdutyとなった)

一方、学生は研究室ではスタッフとして扱われるわけで、パフォーマンスが低い場合には解雇もあり得る。

大学教員となって感じたことであるが、大学の定員割れを防ぐために、大学院生をお客のように扱って、そして研究発表などで耳を疑うようなレベルの学生でも修士を与えて卒業させてしまうことが多々ある。

資源のない日本が発展した理由として、科学・技術に基づいた産業があったからなのであるが、次のリーダーとなる理系大学院生がこの様な環境でトレーニングを受けるのは非常に良くない。少なくとも博士課程の学生は自立して生活できるような予算などのシステムが必要である。

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学生時代から「もし自分が大学教員になったら、博士課程の学生には自立して生活出来るような環境を作りたい」と思っていたが、悔しいけれど自分の非力さを感じてしまう。しかしながら、東大、東工大の博士課程の授業料免除をはじめ、状況は変わりつつある。これが定員割れを防ぐための一時的な手段で終わることなく、大学院生の経済的自立、将来を担う人財のトレーニングの場としての大学院教育の改革に繋がっていくことに貢献できればと思っている。

また、グローバル化が進む社会では高度なトレーニングを積んだ博士号取得者の増加が問題なのであるが、「ポスドク問題」のような問題もある。これについては稿を改めたいと思う。

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